蝉と文鳥・10

 蝉は鳴かない。
 七日目の目覚め、とても静かに朝を迎えた。
 まだ寝ている彼を起こさないように、そうっと床を立って、少年は着崩れた寝間着を直した。
 縁側にみしりと向かい、窓を開ける。
 風が吹いた。
 風鈴が透明な音を奏でる。

 朝靄にけぶる空を眺めていると、少年の頬を白くやわらかなものがかすめた。
 目で追うと翼ある小さな後ろ姿が見えた。

「あぁ」

 裸足で三和土を降りた。
 冷たい土を踏みしめる少年の横顔は、空を謳う詩人に等しい。
 そして思い出したのだ。
 好きな鳴き声を。

「迎えに行かなくては」

 胸が熱い。
 幸福とわかった。
 確かめるように手を当てた。
 瞳を閉じて理解する。






 僕の命は誰かの情熱が込められている。




















 僕の命は誰かの情熱が込められている!








































 七日目の朝、鳥に世界を教えられた。