「最近、シモンの誘惑がひどいんだ」と、伯爵は別世界の自分達に向かい、悩みを告白した。
立派な椅子に腰掛け、対面しているのは、あざやかな赤毛の青年と豪奢なローブに身を包んだ壮年の男、位相の異なる世界から遊びにきたシモンと伯爵である。
本の世界の古の城主はときおり彼らを自身のもとへ招いては、雑談を交わしたり、悩みを打ち明けたりしていた。なんといっても自分達のことだから、異世界のふたりも親身になって話を聞いてくれる。落ち込む伯爵が言うにはこうだった。
「半分裸にも等しい彼はどうにも自身の無防備さを自覚していないらしくて、つい先日もここへ遊びに来たときに、胸当てや草摺をすぐに脱いでな――いや、楽な格好になるのはかまわないのだが、その状態で、なんとなく暇だったのか、目を離したすきに、彼はストレッチを始めたんだ」
青年は座った状態でゆっくりと開脚した――その時点で伯爵の理性は半分麻痺したようになった。布一枚に覆われた部位が、熱を伝えてくるように魅惑的な盛り上がりを見せている。青年はもちろん性的に興奮したわけではないが、ふだん隠されている部位を堂々と晒していることを思うと、伯爵のまなざしはそこからじっと離れなくなってしまった。
「腱や腿の筋肉を伸ばしたあとに、彼はその状態のままうつぶせて、胸がつくまで体を倒した。タンクトップから豊満な胸が見えたよ。息づかいがまたセクシーでな……苦しくはないだろうが、まじめさが伝わるような切なくも短い間隔で、ふっ、ふっ、と部屋に吐息を響かせるんだ。耳にぞくぞくとくるような低音なんだよ。呆然とするわたしを放っておいて、完璧な肢体は次々と健康的かつ淫猥なポーズを取っていった。この狂おしい気持ちを彼はわかっているのだろうか」
最終的にシモンが取ったのは、仰向けに寝転がり、腰を上げて、脚を高くクロスするというものだった。
双尾の人魚を思わせるような肉感的な両脚がぴんと絡まり天へとのぼり詰める。
「わたしはな、尻や股間がはっきりと見える位置にいたんだ」
豊かな肉に揉まれ、挟まれる秘部の、尻から腿にかける魅惑的なライン。不思議な果肉のようにも見えるあやしいふくらみ。伯爵は生唾を飲み込んだ。
「そんなわたしを気にもとめず、むちむちとした部分をくねらせて、ストレッチを続ける彼のことを……わたしは見ていられなかった。息苦しい気持ちになってその場を離れたよ」
今もその光景を思い出せるというように伯爵は瞳をとじた。
異世界のふたりはアイスコーヒーの氷をストローでカラコロとまわしたり、グラスについた露を指でなぞったりしていた。要するに、聞いていないのだ。内容が内容なら親身になって話を聞くが、大半がこんなどうでもいいことなので、ふたりは耳だけを傾けて、テーブルの下で足をつつきあうなどして、見えないところでじゃれていた。
「つい先日も、探索を終えた彼が、なにげない様子でバンダナを解いてな。髪に空気を入れるように、ふわっと頭を振ったんだ。光る汗、漂うシャンプーの香り……わたしが贈った品だから香りも品質も最高級だ。絹糸のような金色の髪の、甘やかな薔薇の香りが、なんとも言えない興奮をともなって鼻孔に流れてきたよ。くらくらとした頭でわたしは廊下にさまよい出た。壁にもたれて息をつくことしかできなくてな……ほんとうは帰還を喜び、抱きしめてあげたかったのだが――わたしはほら、一度火がついてしまうと、なにをするかわからないから――理性を保つことに必死でな」
「で、なにが問題なんだ?」しわくちゃのストローの袋を水で戻す遊びも終えて、することがなくなったシモンは、少しいらいらしたように伯爵に尋ねた。「わからないか」と伯爵は身を乗り出してふたりに迫った。
「無意識の行動にしても、あまりに蠱惑的で、無防備すぎるのだ。彼にとってはそんなつもりがないにしても、誰かをおかしな気持ちにさせるかもしれん。そんな癖を直さないまま、ここから元の世界に戻ったら、シモンには確実に悪い虫が寄ってくるだろう。そうならないように、彼に注意を促して、自身の行為の危険性に気づいてもらいたいのだ。でないとわたしは心配で夜も眠れない」
「今日は彼の誕生日だと聞いたんだが、話にあったように、なんらかの注意を促すだけでいいのかね」もうひとりの伯爵が、すでに用意されているターキーやプディングなどの様々なごちそうと、種々のゲーム類を眺めながらそう尋ねた。「もちろん祝うとも」伯爵は自身に向かってそう言った。「特別な方法でな」
かくしてシモンは異世界の自分たちが待つ伯爵の私室に招かれた。
青年の姿を見て最初に違和感に気づいたのはもうひとりのシモンだった。
自身のスパッツをつまみ、生地と金髪の青年の下半身へと交互に目を注ぐ。
気恥ずかしいようにシモンは眉を下げて笑った。
「ふだん履いている丈の長い鎧下が乾いていなくてな……少し昔のを引っ張り出してきたんだ。おかしいかな」
返事をする代わりに伯爵ふたりは生唾を飲み込んだ。
今の青年が履いているのは、股に添った女性用下着のような黒のパンツ――ブルマーと呼ぶべきものだった。
確かに昔、人間界で1986年のこの日に発売された戦いの記録には、こんな衣類を着用した青年が描かれていたが、実際にその姿を目の当たりにすると、侵攻の気迫もない彼からは、少しおかしな気分になる色気しか漂ってこなかった。
言葉に詰まるふたりをよそに、もうひとりのシモンは「似合っているよ」と微笑を返した。その言葉にホッとしたシモンは、皆に改めて「遠いところをわざわざありがとう」と礼を告げた。
ケーキのろうそくを吹き消して、モリモリと食事をたいらげるふたりの青年を、伯爵ふたりはワイングラスを片手にほほえましく見つめていた。
余談だが、ケーキはふたりぶんのをと考えていた伯爵に、赤毛の青年は「俺は厳密には5/24が誕生日だから」と断りを入れた。世界が変われば生まれた時期も少し違くなるらしい。
ふたりの青年の健啖家ぶりを見て、あぁいつも通りだと、ふたりの伯爵は父親が抱くような幸福感に包まれた。肉もワインも三日分の量が消費されていく、三日月の夜。
不安定な本の世界では外へ出かけるのは危険がつきまとう。城をめぐろうにも、どこもかしこも凶悪な魔物がいるから青年たちにとっては落ち着くものではない。そんな理由からか、暇つぶしの趣味は自然とインドアな種類に傾いてゆき、交流の点ですっかりなじみとなった四人は、日本製のボードゲーム――人生ゲームをして余暇を楽しんでいた。
車に乗せきれないほど子供を産むシモンや、なぜかそのことに対してむつける伯爵、最初から最後までトップを独走し、する必要もないのに人生最大の賭けをして、しっかりと勝つもうひとりのシモンや、対照的に、やむにやまれぬ事情で大勝負をして失敗、開拓地へと送られるもうひとりの伯爵など――それぞれが“らしい”プレイを楽しんだところで、本日の主役であるシモンが、ある問題を起こした。
お手洗いに立とうとした青年が、ごく自然な動作で、ブルマに指を入れて、その位置を直したのだ。
着席から起立のときによく見られる、生地からはみでた尻を中に戻す当たり前の行為だったのだが、それに対して、その場にいた全員が唾を飲んだ。
立派な体格をした青年が、彫刻に表現されるような美しい尻を向けて、ブルマーの位置を直している。
なにか見てはいけないものを見たが、同時に彼らは、目を輝かせるような、とても嬉しい気分になってしまったのだった。
シモンの姿が見えなくなったところで、伯爵はたまりかねたように言った。
「わたしの言った意味がわかったろう」
ふたりは無言でうなずいた。この癖はなんとしても直さねばならぬ。多少強引な手を使っても。
お手洗いから戻ったシモンが、軽く首をまわすのを伯爵はめざとく指摘した。
「最近、肩こりに悩まされているようだな」
「よくわかるな」シモンは驚いたように目を見開き、三人の輪に入り直した。そして自身の肩をつかみ、困ったようにほほえみを向けた。「誰かに揉んでほしいくらいなんだ。手がいくつあっても足りないくらい、あちこち強ばっているからな――」
「凝りを解消してあげようか」赤毛の青年はにこやかにそう言った。手は三人分あるのだ。「プレゼントは他にもあるけれど、やはり体を使ったほうが誠意が伝わるような気がするしな」
シモンは悪いように眉を下げた。いいよと断ろうとしたが、まぁまぁと後ろにまわられ、そのまま肩を揉まれた。
ん、とひめやかな声が出る。
一気に早くなったであろう伯爵の血のめぐりを想像しながら、もうひとりのシモンは、彼の快い部分を適切な力で刺激した。
「気持ちいいけど、やっぱり悪いよ」
「マッサージくらいで気にするな。みんなお前の健康が――安全が一番大事なんだから」
ほかにも揉んでほしいところはないか? と赤毛の青年が尋ねた。実にうまく、導くように。シモンは首をのけぞらせながら「そう、だな――背中とか、腰とか。脚も疲れてて――」
そしてシモンは一番言ってはいけないことを口にした。
「みんなにもたまに揉んでもらってるんだ――だから今は、そんなに……」
おそらく子孫たちのことだろう。くたびれたように首をまわしているご先祖様の姿を見たら、なんの邪心もなくマッサージ役を申し出るに違いない。今のように気持ちのいい声を上げるシモンの姿を、すでに皆に知られていたのだ。
注意を兼ねた仕置きをするには充分すぎる言葉だった。
三人は目を見合わせた。合図だ。最初に、伯爵がこんなことを言った。
「凝りに加えて、鞭振りの練習にも支障が出ているようだな」
どうしてそれをというように、シモンの頬がぽっと染まった。
日々の夜の営みのせいか、最近では胸当てを身につけないと満足に鞭が振れないようになってしまった。いつも可愛がられている乳首が刺激に対して敏感になってしまったのだ。隠しておいたことなのに、伯爵にはしっかりとばれていた。
「それは可愛そうに」
もうひとりのシモンが前にまわって、シモンのタンクトップを首元までめくり上げた。「え」と、とまどいの声を上げるシモンの後ろに、もうひとりの伯爵が腰を下ろす。青年の肩や細腰を抱き、逃げられないように抱き寄せる。
淡紅色の乳首を見た赤毛のシモンが、きちんと心得ているといったように口端を持ち上げた。
「俺もよくそうなるよ。そういうときは、こんな風に治すのが一番なんだ」
乳首を口に含まれ、シモンは「ひあっ」と声を上げた。そのままぺろぺろと可愛がるように舐め上げられた。急に襲ってきた快感に、青年は逃げられもせず、ただ耐えるように身もだえた。
「肩こりもひどいと言ったな。なるほど、君はこんなに胸が大きいからな。立派な筋肉が付いていても、胸まではとても支えきれないのだろう。少し運動をして、脂肪を減らすのが一番だな」
そう言って、もうひとりの伯爵は、シモンの豊かな胸を左右から揉み上げた。
「あっ あぁっ」
リズミカルに、しかし労りをこめてゆっくりとこねまわされると、シモンは堪えきれずに、しっとりとした甘い声を上げた。
「あっ、そんな――だいじょうぶ、だから、やめて――」
「そんなことでは治るに治らないぞ。きちんとほぐさねば、戦いにも支障を来してしまう。ちゃんと我慢して、皆の治療を受けたまえ」
そう言って伯爵は翻弄されるシモンの衣類をすべて脱がした。動揺し、抵抗する暇も与えぬほどあざやかに。生まれたままの姿となった青年は、恥ずかしそうに脚をくねらせた。そこだけは見られたくないように、もじもじと。
「あぁ、そんなふうに脚を強ばらせてはいけないよ。さぁ、いつものようにゆっくりと脚を開きなさい。わかっているとは思うが、衣類の締めつけがあっては治療の妨げになるからね――わたしたちはよこしまな思いで君を裸にしたのではないのだよ。理解しているね? ――わかっているのなら、言われたとおりに脚を開きなさい」
手を取られて導かれるような伯爵の言葉に、シモンは次第に頭がぼうっとしていった。そして言われるままにそろそろと脚を開いた。震えているのをくすくすと笑われながら、恥ずかしいところを皆に晒した。
「あぁ、こんなに熱を持ってしまって」
伯爵はシモンの立派な陰茎をやさしく握りこんだ。目配せをして、ふたりにも触るよう指示をする。三人のやさしい指がシモンのみだらな部分を抱擁した。
「いけない子だ。きちんと熱を解いてから次のマッサージに移らなくてはね」
竿をしごかれ、陰嚢をさわさわと刺激され、亀頭を爪でいじられる。
「いや、いや、そんな――やめてくれ」きつく目をつむっていたシモンだったが、ふと、潤んだ瞳でその部位を見てしまった。三人の美しい指が卑猥な動きをする、官能の熱に溢れたみだらな光景を。
甘く切ない声を上げてシモンは達した。三人の手指にそれぞれ飛び散った精液を、皆はシモンに見せつけるように舐め取った。その表情を見て、シモンは息を荒げながら、さらに赤く頬を染めた。
「声の調子も悪いようだ。舌遣いが悪いのかな」
「手指も震えている。きちんと運動させて、動かし方を改めて学ばせないと」
「尻の筋肉も強ばっているだろう。内からちゃんとほぐしてあげるからね」
そしてシモンは三人の陰茎を、口に咥えさせられ、手でしごくよう強要されて、しばらくの慣らしのあと、肛門に受け入れるというマッサージを施術されたのである。
三人に奉仕するあいだ、彼らはお返しのように青年に愛撫を繰り重ねた。
胸を揉み、乳首を可愛がり、腿をさすって、青年が愛に満たされるよう、最上のサービスを施したのだ。
全身をなでる手つきには優しさがこめられていた。
苦痛に思わない程度の、快感の波にたゆたうようなやわらかな刺激を重ねて、シモンの瞳をとろんとさせた。
「んんっ んうっ ふぅうン」
鼻から抜ける甘い声。舌や手を動かして、一生懸命に施術をこなそうとするシモンに、やがてご褒美のような白い液が飛んだ。顔に、口に、腹の中に。
自身も達しそうな頃には三人の手が陰部に伸びて、シモンの精子を絡め取った。そしてそれをとまどうシモンの口に入れて、彼自身に清めさせたのである。三人の指がねじこまれても、シモンはぼうとした瞳で従順にそれを吸い上げた。名残惜しいようにちゅぱちゅぱと指をしゃぶるシモンを見て、三人の笑い声が頭上にこぼれた。
「この調子でマッサージを続けよう。今のようなことを最低でも三巡はしないと体の凝りはほぐれないよ。さぁ、次は君の番だ」
伯爵は尻へのマッサージ権をもうひとりのシモンに明け渡した。
同時にもうひとりの伯爵が手で奉仕される権利の位置へと移動する。
白くしたたる伯爵の陰茎を口で清めることになったシモンは、何も考えずにそれを口に含んだ。一生懸命に治療を受ければきっと凝りもほぐれるはずと、どこかでそんなことはないのにとわかっている頭で、涙を流しながら。
体位を変え、何回も何回も貫かれ、全身を揉まれる。まさぐられる。
ときおり、「喉が渇いたろう」と、よく冷えた蜜のような甘いワインを飲まされた。
「きちんと水分も補給しなくては、ばててしまって、最後まで治療を受けられないからね」
一度果てるごとに口に含まされたそれは、下腹部にたまり、やがてシモンの体をもじもじとさせた。
「トイレに行きたい」と訴えるシモンに対して、彼らはそれを許さなかった。
治療に耐えきれず、そのまま逃げ出してしまうかもと呟く声に、シモンは否定するように頭を振ったが、もとから仕組まれた尿意を誰にも見られずに処理することなど許されなかった。伯爵は大きな空の花瓶をシモンの足元に置き、こう言った。
「尿道の具合も看てあげるから――皆の前で、してみなさい」
一度火がつくと絶対の立場から振る舞うようになる彼の癖を青年もよく知っていた。
最近は伯爵もそれを自覚して、意識して欲望の炎を抑えようとしていたことも、シモンはしっかりと理解していた。それでも――あぁそれでも。
「そんなこと――できない」膝立ちのまま、震えながらシモンは答えた。
「そうか」伯爵はあっけなく空の花瓶を引っ込めた。「せっかく器を用意してあげたのに。しかたがない、なにもないところでしてみなさい。自然に出るまで待っていてあげるよ」
それとも、皆に責められながらのほうが喜ぶかね?
よこしまな炎に燃えた囁きがシモンの頭に響いた。冷たくも甘く、残酷な、三者三様の視線がシモンに注がれる。
なにも考えられなくなったシモンは、三人からの愛撫を選んだ。
震える膝で駆け寄り、ひとりの陰茎を口に含む。
彼らはたまらないように笑いながら、シモンへの責めを――マッサージを再開した。
青年は涙をにじませながら、どこかでこんな辱めを望む自身の思いに向き合っていた。あぁ、腹にたまるこれが解放されたとき、その後はどんな仕置きが待っているのだろう?
シモンは伯爵の身体に跨がせられた。今ではすっかり彼のかたちを覚えてしまった後穴がいとおしむように城主のものをくわえ込む。
もうひとりの伯爵がシモンの後ろにまわり、彼のバンダナで目隠しをした。
赤毛の青年がふらふらとする自分をしゃんとさせるよう、力を入れて、青年の両腕を後ろ手に縛った。
「そのまま腰を動かしなさい。下半身の筋肉と、体幹を鍛えるのに良いんだよ。もちろん体の芯から凝りもほぐれる」
大事なマッサージなんだと説明されて、シモンはじんじんとした下腹部を抱えながら、言われたとおりに腰を動かした。自分で奥を突くたびに限界まで張り詰めた男根からぴゅくぴゅくと露がほとばしった。
シモンは真っ暗な世界のなかで、膝立ちのまま、太腿をぶるぶると震わせていた。
まだ耐えきれる、まだ――そう意地を張るように引き結んだ唇が、いくらもしないうちに「あぁんっ!」と甘やかに開かれた。暗闇のなか、いやらしい手つきを想像できる複数の腕が、シモンの肌を縦横無尽にまさぐったのだ。
胸を揉み、乳首をつねり、腕や腹や腿を触り、尻や足の裏を撫であげる。
「あぁ、胸は、胸はやめて」
彼の膀胱に直結する弱点だった。そこを愛撫されると、ぞわぞわとした快感が走り、腰から力が抜けてしまうのだ。耐えるのに必死になっていると、下半身の動きを忘れたことに対して、容赦なく尻を叩かれた。
「はんっ、はんっ」
めちゃくちゃになった頭で律儀に運動を再開する。なにも抵抗できない。胸は乳首から押し揺らすように揉まれて、揉み上げられて、おもしろい声を上げるおもちゃにされている。
シモンは悲しみのあまり泣き声を漏らしそうになった。
あぁ、こんなふうになにも頼るものがないまま、皆の前で、恥ずかしいところを見られてしまうなんて――息遣いに暗いものが含まれたとき、青年を責めていたひとりが、シモンの口を優しく塞いだ。
「あむ――うぅん」
熱を感じられる、情愛に満ちたキスだった。
続いてもうひとりが青年の顎をつかみ、顔の向きを変えて、食むような勢いでシモンにくちづけた。涙を吸い上げるようなキスだった。
下腹部から動きが起こり、最後のひとりが身を起こしてシモンと唇を重ねた。なにもかもを包み込む感触の、愛を注ぐようなキスだった。
シモンは三人から慈しむように体を抱きしめられた。なんという心地よさ。肌と肌がしっかりと密着して、すべてがあたたかい――。
幸せな息苦しさのなか、シモンは全身を震わせて、失禁した。
恥ずかしい音を響かせて、シモンは長いあいだ、伯爵の腹に放尿し続けた。そして自身の奥にも熱いものを注がれた。
三人からの絶え間ない愛撫を受けながら、シモンは涙を流して、途方もない快感に打ち震えていた。
責めに耐えきれず、おもらしをする自分を、彼らは嫌がることなく受け入れた。新たな罰を与える理由を見つけて喜んだのだ。目隠しと拘束を解かれた青年の耳にこんな言葉がこだました。
「つまらない強情を張らずに、最初から器にしていれば部屋を汚すこともなかったのに――」
くすくす笑いがシモンの肌に痺れるような愉悦をもたらした。あぁそうだ、汚してしまったのだ。尻を差し出すように言われて、シモンはなにも疑問に思うことなく四つん這いになった。頭を伏せて震える彼にとても優しい声がかけられた。
「たっぷりと時間をかけてしつけてあげるからね」
そうして、粗相をたしなめるように、順々に尻を叩かれた。それはひどく痛いものではなく、誰からの仕置きにも快楽を感じるような甘さがあった。
交互に、順番に、音高く尻を叩きながら、彼らはシモンにこんなことを囁いた。
「おもらしをする君を見ると安心するよ」
「嬉しすぎてついつい股間を濡らしてしまうのだろう?」
「可愛い子だ。こんなに可愛い子を、他の誰にも触れさせたくないんだよ」
青年も、今ではきちんと、彼らの怒りに触れたことを理解していた。
彼らから愛される自分が、皆の前で無防備な振る舞いをしてはいけなかったのだ。自分はそんないけないことをしたのだから、甘んじて罰を受けるべきなのだ。こんな風に大の大人が尻を叩かれても、少しもおかしいことはないのだ。
あっ、あっ、と感じ入る声を上げながら、シモンはしつけをねだるように、尻を高く持ち上げて、彼らからの快美なる懲罰を待った。
「ごめんなさい。ごめんなさい」
何度も何度も謝りながら、マッサージと称する彼らの愛ある仕置きを、シモンは次の日を迎えても、失神することなく――とても従順に――受け続けた。
シモンをうつぶせにさせて、自分の手で尻たぶをひろげてみせるポーズを取らせたあと、三人はそこからしたたる愛の名残を見て、納得したようにうなずいた。
これでもうしばらくは彼も注意ある行動を取れるはず。
「よく我慢したね、シモン。最後まで治療に耐えた君なら、前よりもきっと健康的な毎日を過ごせるはずだよ。すてきな一年になるように心から祈っている――本当におめでとう」伯爵はシモンの頬にキスをした。「さぁ、仕上げに体を清めようか」
伯爵は震えている彼をお姫様のように抱き上げて、大浴場へと連れていった。
ふたりが微笑を浮かべながらあとに続く。
そこでも体を清めるという口実のもとに自分をさんざんに可愛がるのだろう――シモンは伯爵の胸に顔をうずめて、仕置きが終わっていないことに対しての、ある種甘美な陶酔による、喜びの涙を流した。
官能に満ちた誕生日が終わり、異世界の伯爵とシモンは満足したように(使命を果たしたように)自分たちの世界へと帰っていった。
数日後、ラウンジにいるシモンの下半身を見た伯爵は、青年のもとへずんずんと歩み寄り、怒りをこめた声でひそやかに囁いた。
「人を誘惑するなと、この前たっぷりと注意しただろう」
怒りを向けられたシモンは、そこだけは譲れないというように、眼光鋭く睨み返した。
「これは伝統的な戦装束だと言っているだろう」
そして天候を指し示すように、窓から見える常闇の曇り空を指さした。洗濯はできても、この城にはまだ乾燥機というものがない。
その日のうちに大量のスパッツがシモンの部屋に届けられた。
同じ量のブルマーと、こんな手紙が添えられて。
『わたしと会うときにだけブルマーを履いてくること』
シモンは手紙を読んで、伯爵の食いつきが良くなりすぎたことを、眉を下げて理解した。
一ヶ月ほど前からシモンは、『どうもこの頃、ふたりの気持ちが燃え上がらなくて――欲望に流されるのを悪いと思っているのか、彼が禁欲的になっていて寂しいんだ』と、もうひとりの自分にこっそりと相談していた。
赤毛の青年は親身になって色々な解決策を提示してくれた。
目の前でストレッチをしてみたり、髪の毛をふわりとさせてみたり、無意識を装って誘惑してみたらどうだと。
それでもだめなら、今度の誕生日に、これを履いてきてごらんと――そう告げて渡されたのがあの伝統的なブルマーだった。
恥ずかしい気持ちはあったが、履いてみたところ、見事伯爵にうずきを起こさせることに成功した。そしてぽろりと、これは本当に無意識のうちに漏らしたものだったが、子孫たちからのマッサージの件がとどめとなり、彼の情熱をふたたび燃え上がらせることになった――のだが、少々勢いがつきすぎて、その火は今も消えずに、めらめらと絶えず燃え盛るようになってしまった。
今度会うときはなにか代わりの衣装がないものか相談してみよう。
今頃はきっと呑気にあくびをしているだろうもうひとりの自分のことを思いながら、シモンは伯爵からの手紙を丁寧にたたみ、今夜ぶんの真新しいブルマーを、箱からそっと取り出したのだった。
終
14/09/05(金)
初代と年代記のマッサージ妄想が頭から離れなかったので、なにも考えずに、とにかくマッサージ場面を書こうと思いました。
もうすぐ初代の発売日が近いので(9/26)誕生日ものっぽく書こうとした気持ちもあります。
そしてブルマー妄想が絵に描いてもおさまらなかったので、文字にもしました。まだ全然ものたりないです。