蝉は鳴かない。
七日目の目覚め、とても静かに朝を迎えた。
まだ寝ている彼を起こさないように、そうっと床を立って、少年は着崩れた寝間着を直した。
縁側にみしりと向かい、窓を開ける。
風が吹いた。
風鈴が透明な音を奏でる。
朝靄にけぶる空を眺めていると、少年の頬を白くやわらかなものがかすめた。
目で追うと翼ある小さな後ろ姿が見えた。
「あぁ」
裸足で三和土を降りた。
冷たい土を踏みしめる少年の横顔は、空を謳う詩人に等しい。
そして思い出したのだ。
好きな鳴き声を。
「迎えに行かなくては」
胸が熱い。
幸福とわかった。
確かめるように手を当てた。
瞳を閉じて理解する。
僕の命は誰かの情熱が込められている。
僕の命は誰かの情熱が込められている!
七日目の朝、鳥に世界を教えられた。