いくつかの月日が経ち――薔薇園の管理小屋には、管理人もいないのに、時々明かりが灯ることがあった。伯爵とシモンが訪れているのだ。
あれからシモンはどんなに神経が昂ぶることがあっても、この薔薇園で一夜を過ごせば、夢も見ずによく眠れるようになった。あれ一夜きりではなく、自分ではどうしようもない疲れが溜まったとき、伯爵にお願いして、ここへ招いてもらうのだ。いくつの夜を過ごして、いくつの甘い眠りに落ちたのか、もはや伯爵にしかわからなかった。今日も薔薇の花びらに体中を愛撫されながら、伯爵の癒しを受けている。
ふたりは浴室で睦み合っていた。猫足の浴槽に赤い薔薇の花びらを一面に浮かべて、熱くも寒くもないお湯に浸かりながら体を繋げていた。シモンは伯爵の体に跨がるようにして、彼の男根を尻の穴で咥え込んでいた。互いの胸にローズオイルを塗り伸ばしながら、秘めやかに腰を揺らめかす。
「んっ」時折、シモンはこらえきれないように甘い声を漏らした。薔薇の感触が心地良いのだ。湯船に浮かんだ薔薇の花びらは、ふたりにまとわりつくと、その天鵞絨のような肌ざわりで、一枚一枚、そっと口づけるように甘く肌に吸い付いた。水面が揺れるたびに何人もの口づけを受けるようで、浴槽に浮かぶ赤い薔薇の花びらは、芳しい香りとともに、ふたりを官能的な気分に導くのだった。
伯爵はシモンの乳首をこねまわしながら、もう一方の手で青年の肛門をすりすりと撫でた。伯爵の逸物をくわえ込んだ肛孔は、乳首への刺激に連動して、きゅうっとすぼまったり、緩んだりした。その反応を面白がるように、伯爵が胸への愛撫をしつこく繰り返すと、シモンは急に恥ずかしさがこみ上げたのか、伯爵の顔を手のひらで押しのけて止めさせようとした。
「あぁんっ!」
途端に、尻から甘い刺激が全身に走り抜け、シモンをびくびくと身悶えさせた。尻の中には薔薇の種子が埋め込まれていた。主の愛撫を受け入れない青年に、仕置きのような快美な刺激を送って、恥じらいから来る抵抗を崩してしまうのだ。薔薇の種子はふたりの愛の営みを助けるための潤滑油を絶えず分泌して、もう何時間も主と青年に尽くしている。伯爵はふふと笑ってシモンの胸に吸い付いた。「また叱られたんだね、シモン」
いけない子だ――そう囁かれて、シモンはぞくぞくと身を震わせた。
彼に叱られるのはなんと心地良いことなのだろう。自己を律した大人として、あらゆる責任を果たそうと気負っていた心が、ゆるゆると解きほぐされていくようだ。彼の前で子供になるとき、シモンはあらゆるものから自由だった。
シモンは自ら大胆に腰を動かし始めた。伯爵にしがみつき、キスをしながら、止まらないように尻を振る。目尻に浮かべた涙は喜びと恥じらいによるものだった。伯爵はそんなシモンの反応を心から喜び、青年の大きな尻を両手で激しく揉みしだいた。
「君のお尻から咲いた薔薇を加工して、永遠に色褪せない魔法の花束を作ってあげようね。枯らしてしまうには惜しいくらいに美しく、可愛らしいのだから。それに、それを見れば何度ここへ来たかわかるだろう?」
シモンは腰を振り乱しながら甘く喘いだ。
「あぁ……っ、いやだ、そんな……っ、恥ずかしい……っ!」
「今さら何が恥ずかしいのかね」
水の抵抗によって尻が叩けないかわりに、伯爵の気持ちを代弁した薔薇の種子が紫の刺激を送り込んだ。「ひあぁんっ!」大きく身悶えながらも、腰の動きは止まらない。動きを止めればさらに強い刺激を送られるだろう。叱咤と快感に促されて、シモンはめちゃくちゃに尻を振り乱した。香りはむせるほどに濃くなって、頭を靄に包んでいく。
「いつかその花束をプレゼントしてあげるよ。ひとつひとつ数えてみようじゃないか。どんなに君のお尻がはしたないものか、お互いに理解するためにね」
君とわたしとの愛の結晶でもあるんだから――。
伯爵の囁きはシモンの心を熱く満たした。
声もなく達したシモンは、伯爵にゆっくりと身をもたれた。どくどくと脈打つ肉体は優しく抱きとめられて、頭や背中を労るように撫でられた。シモンは内に注ぎ込まれる精子の流れを感じていた。伯爵の精子は種子に届いて、絡まり、根付いて、静かに姿を変えていく。
やがて湯船に新しい薔薇が浮かんだ。
幾重にも重なる花びら、馥郁たる香り。
愛し子の微笑みにも似た、大輪の赤い薔薇だった。
終
17/6/16(金)
パワプロの史門はパロディキャラとして認識しておりますが、まぁ一応。
悪魔城という世界観だから薔薇で色々できて良いですよね。
小説では久しぶりのドラシモエッチ、がんばりました。